ひとおもい

主にゲームやアニメのレビューをしています。

WriggleStory

2021年ゲームレビュー 2 

232分=4時間。ストーリークリア、エキストラクリアまで。
リグルが主人公の東方二次創作アクションゲーム。相当のリグル愛とゲームの作り込み、そして歯ごたえあるアクションを楽しむことができた。
以下ネタバレ。

 

booth.pm

 

 

永夜抄の裏でリグルが経験したストーリーを描く。プロローグ的にラルバ(!)に出会うところから始まり、1面で霊夢&紫ペアにちょっかいを出して負け、霊夢に破れたみすちー、慧音、魔理沙と出会って難癖をつけられながら戦い、最終的に永夜異変で暴走した影狼を撃破する。

永夜抄以降のキャラクターも正史との整合性を保ちながら登場していて、IFストーリーというよりは「あったかもしれない裏の物語」という趣が強い。みすちー魔理沙に攻撃される理由にも無理がなく、空から落ちてくる慧音を受け止めるシーンは斬新だった。影狼ちゃん? 逆様異変までは大人しい。

可能なアクションはショット、ジャンプ、飛行、そしてリグルキック。リグルキックというのは、永夜抄1面でリグルが中ボスとして登場する際、アイテムを上部回収している自機が上から登場するリグルにぶつかるのを「キックされた」と呼んでいるもの。「リグルと言えばリグルキック」というところがあり、リグルが主人公のゲームでリグルキックができるのなら、待ってましたの大喝采だろう。またリグルの周りが常にほんのり明るくなっているのは、ホタルの妖怪であるリグルを操作している、という実感が湧く表現で素晴らしかった。

ショットは4択だが、カブトムシを選択して赤い大玉×3を連射するのが一番強い。速攻ゴリ押しは戦術の基本。さらにカブトムシはリグルキックでカバーできない上方に強いのも嬉しい。ボスも頭上にいることが多いので、重力のある横視点の弾幕ゲーというデザインと噛み合っている。

演出面では工夫が見られ、スペルカードこそ無いものの、ボスは本編のスペルカードを彷彿とさせる攻撃を放つ。またシュート・ザ・ムーンでは右枠が出てきて東方本編が始まったり、魔理沙の耐久はUNDERTALEだったりで見た目に楽しい。他にも、敵ではない他の東方キャラと会話できたり、道中では店が開かれていてパワーと引き換えにライフと残機を購入できる。グレイズでカリカリと音が鳴るのも気持ちいい。

ただ、それらがゲームをより良くしているのかは少し判断が難しい。キャラとの会話はともかく、店のシステムやUIの一時的な変更は必要だっただろうか。無論、店主のヤマメちゃんはかわいいし、そういう「やりたいことを全部やる」姿勢こそが同人ゲームらしさだとも言える。

アクションゲームとしての手触りにも疑問があり、まずリグルの移動に強い慣性がかかっている。慣性自体はアクションゲームに付き物だが、敵の弾幕を精密な操作で回避することが求められる本作では、慣性はもう少し弱くても良かったように思う。

また飛行時に当たり判定が小さくなるのも仕様としては首を傾げる。飛行には時間制限があるので適当なタイミングで地面に降りる必要があるのだが、地上で弾幕を避けようとすると当たり判定が大きくなり、空中と同じ感覚で避けることは出来ない。バランス調整と言えなくもないが、そうする利点は見いだせなかった。

とは言え、それらを乗り越えてクリアすることは十分可能。道中・ボスともに作者の意図は明確に感じられ、何よりリグルを主人公にゲームを作ろうという企画が素晴らしい。

個人的にはエキストラでドレミーさんが出てくるのが最高でしたね。ナイトメア・オブ・キメラを使うところも、ラストに紺色の狂夢のバージョン違いがあるのも最高でしたね。一度倒して再度エキストラを選んだら戦闘前の会話が違うのも最高でしたね。紺珠伝って永夜抄リメイクみたいなところあるもんね。いやあドレミーさんがしっかり出てくる東方二次創作ゲームは得難い。ありがとう。大好き。